デザインデータを共有しよう

セガゲームス、第1CSスタジオ テクニカルアーティストの熊です。
いつもはデザイナーが扱うDCCツール(PhotoshopやMayaなど)のスクリプトを書いたり、プログラマーとデザイナーの仲介役などやっています。
2年ほど前までは背景デザイナーとして普通にデザイン作業をモリモリやっていたんですが、ある日突然コーディングに興味が沸いて今ではPythonやJavascriptをモリモリ書いてます。
そんな経緯なので、プログラマーさんほど書けるわけでもないけど、デザイナーでもない。中途半端な立ち位置で毎日楽しくお仕事させてもらっています。

今日は今まで作った数あるスクリプトの中から一つ、デザインデータの共有ツールをご紹介します。

デザインデータの共有ツールとは?

ここでいうデザインデータというのは、簡単に言うと椅子とか車とかのアセットと呼ばれる部品(パーツ)の事です。
こういうパーツをデザイナーの方がコツコツと作り、部屋や街のステージに配置していきます。
このパーツをデザイナーみんなで簡単に共有出来たら楽だなぁ~と思って、このツールを作りました。


そもそもなぜ必要?

大規模なプロジェクトは、外部開発会社さんも含めるとかなりの人数です。
この人数で一日に作られるデザインデータの数は相当なもので、
誰が何を作ったかを把握する事はもう、ほとんど不可能です。

そうなると、他のデザイナーが並行して制作したパーツや、すでに作ってあるパーツを探せず、同じようなものを個々で作ってしまって、無駄に時間使っちゃった。という事がよく起きるんです。
この時間のロスが多くなるとスケジュールが遅れたり、最悪、製作費の肥大化の原因になっちゃいます。

こういう無駄を防ぐ為にデザインデータの共有ツールは必須なのです。


共有ツール『K_Parts_Studio』紹介!

私が作った共有ツール『K_Parts_Studio』をご紹介します。


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このツールを制作するに当たって、いくつかコンセプトがありました。

・パーツの登録、修正、利用が簡単で直感的あること
・検索方法が豊富であること
・起動が速いこと
・絶対に間違った登録が出来ないようにすること
・とにかくシンプルであること



まずはサクッと使い方を紹介します


1.モデルを用意

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まずはモデルを用意します。


2.フォルダ名、ファイル名、タグ、説明の欄に記入

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次に項目に必要な情報を記入します。
これで登録に必要な作業は終わりました!


3.登録!

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登録すると、全自動で登録作業が行われます。


4.登録されたパーツを確認

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ちゃんとスクリーンショットが撮られて登録されていれば成功です。


5.スクリーンショット画像をクリックしてシーンにインポート

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シーンにインポートします。
リファレンスとかで持ってくる事が出来ます。


6.あとは自由に配置

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一連の流れはこんな感じです。
登録から利用までスムーズに行う事が出来ました!



パーツの登録、修正、利用が簡単で直感的あること

特に登録の部分が非常に大事です。
デザイナーがめんどくさいと感じた瞬間に登録がされなくなります。
登録がされないと利用されなくなり、すぐにツールがゴミ箱行きになっちゃいます。

まずは登録が簡単であること。
これは絶対に外せません。

これを実現する為にさまざまな情報を自動取得させて、デザイナーが登録時に必要な作業は

・フォルダ名
・ファイル名
・タグ付け
・説明

のみとなりました。
このくらいであればそんなに負担になりませんね。

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検索方法が豊富であること

検索がちゃんと実装されていないと、これもまた誰も使わなくなります。
ツールを作る時、自分でめんどくさいと感じた事はみんな同じように感じています。
まずは、自分がこれ簡単で便利~♪と思えるレベルまで持っていく事が大事だと思います。
検索機能にしても、こういう検索出来ないのかなぁ?と思ったら
どんなに大変でも実装するべきです
今回は登録したすべてのキーワードでの検索とタグ検索(複数可)を実装しました。

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起動が速いこと

起動の速さもまた大事です。
レスポンスの良いツールはストレスが少なく、利用されやすくなります。
非常に大事ですね。



絶対に間違った登録が出来ないようにすること

間違ったデータを登録しようとするとエラーになり、修正方法をメッセージで誘導します。
何が間違ったのか? 何を修正すればいいのか?
これを明示的に指示する事で大きなミスは格段に減ります。
例外に対するケアも非常に大事な要素です。



とにかくシンプルであること

こういう統合ツールは非常に機能が多くなり、煩雑になりがちです。
ですが、手軽に使ってもらうにはシンプルである事が最重要となります。
表向きシンプルでありながらも、内部は複雑な関数の塊という形が理想ですね。
ボタンの数や配置に気を遣う必要があります。
ユーザビリティを大事に。

(とは言っても、やはりボタン数は多くなりがちです・・・)

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モード切り替えの際など、今の状態を一目で分かるようにUIカラーを変更しています。



使う人の気持ちを考える

このツールを作った時、一番に考えたのはインターフェースの見やすさや使いやすさでした。
デザイナーの作業というのは非常に複雑で、日々さまざまなツールの機能を利用して一つの絵を完成させていきます。
単に作業しているだけでも大変なのに、そこにさらに複雑なルールや膨大な数のボタン群を見せられても、ウンザリするだけです。
テクニカルアーティストというのはデザイナーとプログラマーの気持ちを理解出来る唯一の存在です。
いかに複雑なシステムをデザイナーが扱いやすい構成に落とし込めるかが課題になります。

たくさんの機能を搭載するかではなく、どれだけシンプルな構成に出来るかを重要視する事が大事です。



コミュニケーションは大事

ここまで書くと、ずっとPCに向かって黙々とコーディングしているように思えますが、
実はけっこうな頻度で仕様についての話し合いや情報交換をしています。
丸一日ずっと仕様決めの為に色々な人と話す事もあります。
誰が何の作業で困っているのか?昨日までの仕様は変わっていないのか?というのをしっかりと把握していないと、
頼まれたツールが完成した頃にはもう、必要なくなっていた・・・。
なんて悲しい事になってしまいます。

テクニカルアーティストって、コミュニケーション能力も大事なんです♪



まとめ

というわけで、一通りツールの説明からツールを作る時に心掛けている所などを書かせていただきました。
書きながら今までの仕事を振り返っていたんですが、やはり、周りのデザイナーの皆さんの協力があったからこそ、いくつものツールが完成してきたんだと感じました。

テクニカルアーティストの仕事は多岐に渡りますが、デザイナーとプログラマーの間を行き来出来るちょっと面白い立場です。
デザインをロジカルに考えることが出来る方や、毎日新しい課題に取り組むのが好きな方はきっと、楽しめると思います。

こんな仕事してみたい!と思っていただける方がいましたら、ぜひ一緒に働きましょう!


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